1.春日大社とは?

奈良県奈良市の春日野町に鎮座する春日大社(かすがたいしゃ)は、奈良公園の東側、御蓋山(みかさやま)のふもとにある神社です。

奈良時代の768年(神護景雲2年)に社殿が造営されたとされ、古くから藤原氏の氏神として篤く信仰されてきました。現在も全国に約3,000社ある春日神社の総本社として知られています。

春日大社は、朱塗りの社殿や数多くの燈籠、神の使いとされる鹿、豊かな森林など、奈良ならではの歴史と自然を一度に感じられるのが魅力です。
また、春日大社と春日山原始林は、東大寺や興福寺などとともに、世界文化遺産「古都奈良の文化財」の構成資産です。

観光で訪れる人はもちろん、歴史や神社の文化に触れたい人、御朱印やご祈祷を目的に参拝する人にもおすすめの神社です。

1.1 春日大社の基本情報
🔸春日大社はどこにある?
春日大社は、奈良県奈良市春日野町160にあります。

奈良公園の東側に位置し、春日山・御蓋山の豊かな自然に囲まれているのが特徴です。奈良公園の鹿と出会えるエリアとも近く、東大寺や二月堂などとあわせて訪れる観光コースも組みやすい場所にあります。

春日大社の境内に入ると、都会的な建物から離れ、樹木が生い茂る参道を歩きながら少しずつ社殿へ向かうことになります。
そのため、単に社殿を見学するだけではなく、自然の中を歩きながら神社を参拝することそのものも、春日大社の楽しみ方の一つといえるでしょう。

🔸春日大社の御祭神は?
春日大社の御本殿には、次の四柱の神様が祀られています。
・第一殿:武甕槌命(たけみかづちのみこと)
・第二殿:経津主命(ふつぬしのみこと)
・第三殿:天児屋根命(あめのこやねのみこと)
・第四殿:比売神(ひめがみ)

御祭神

春日大社によると、武甕槌命は鹿島から御蓋山へ迎えられ、その後、経津主命、天児屋根命、比売神がともに祀られたことが春日大社の起源とされています。

特に春日大社と鹿との関係は深く、武甕槌命が御蓋山へお越しになった際に白鹿に乗ってきたという伝承から、鹿は神様の使いとして大切にされてきました。

奈良公園を歩いていると鹿を見かけることが多いですが、春日大社の歴史や信仰を知ってから見ると、奈良の鹿が単なる観光名物ではなく、神社の信仰と深く結びついた存在であることが分かります。

🔸春日大社と奈良公園・春日山の関係
春日大社を理解するうえで欠かせないのが、周囲の自然です。

春日大社は御蓋山を神山として大切にしており、春日山原始林も長い間、神域として保護されてきました。春日山原始林は国の特別天然記念物にも指定されています。

また、春日大社と春日山原始林は、1998年に世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産として登録されました。「古都奈良の文化財」には、春日大社のほか、東大寺、興福寺、元興寺、薬師寺、唐招提寺、平城宮跡などが含まれています。

つまり、春日大社の魅力は社殿だけではありません。
神社・鹿・森林・歴史的景観が一体となった文化的な環境そのものが、春日大社の大きな特徴です。

🔸春日大社の特徴|朱塗りの社殿と約3,000基の燈籠
春日大社を訪れたら注目したいのが、鮮やかな朱色の社殿と境内に奉納された数多くの燈籠です。

春日大社の境内には、平安時代から奉納されてきた約3,000基の燈籠があるとされています。石燈籠や釣燈籠が境内のさまざまな場所に並び、春日大社独特の景観をつくっています。

さらに、春日大社では約20年に一度、社殿を修繕・整備する「式年造替(しきねんぞうたい)」が行われてきました。こうした取り組みを通じて、古くから伝わる建築や祭礼、文化が現在まで受け継がれています。
参拝の際は、本殿だけを見るのではなく、参道の森林、石燈籠、釣燈籠、朱塗りの社殿などにも目を向けてみると、春日大社ならではの魅力をより深く感じられます。

1.2 春日大社の歴史|奈良時代から続く信仰
春日大社の歴史は、奈良の都・平城京が栄えていた奈良時代にさかのぼります。

春日大社の公式情報によると、まず武甕槌命が鹿島から御蓋山へ迎えられ、その後、768年(神護景雲2年)に称徳天皇の勅命によって現在の場所に社殿が造営されたとされています。藤原永手が社殿の造営に関わり、経津主命、天児屋根命、比売神もあわせて祀られました。

🔸藤原氏との深い関係
春日大社の歴史を語るうえで重要なのが、藤原氏との関係です。

春日大社は古くから藤原氏の氏神として篤く信仰され、多くの貴族からも崇敬を受けました。そのため、長い歴史の中で多くの神宝が奉納され、現在も数多くの文化財が伝えられています。春日大社では、こうした御神宝を「国宝殿」で紹介しています。

このように、春日大社は単に奈良にある古い神社というだけではなく、奈良時代以降の政治や貴族文化、神道文化と深く関わりながら発展してきた神社といえます。

🔸奈良時代から現在まで受け継がれる春日大社
春日大社では、創建以来の伝統を現在まで受け継ぐ祭礼も行われています。

例えば、毎年3月13日に行われる春日祭は長い歴史を持つ祭礼の一つです。また、若宮に関わる「春日若宮おん祭」も長い伝統を持ち、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
現在も春日大社では年間を通して数多くの祭礼が行われています。公式サイトでは、年間2,200回以上の祭が斎行されていると案内されています。

そのため、春日大社を訪れることは、歴史的な建物を見るだけではありません。
奈良時代から続く信仰や祭礼、自然との関わりを現在の境内で感じられることが、春日大社の大きな魅力です。

🔸この記事で覚えておきたい春日大社のポイント
春日大社について初めて調べる場合は、まず次の5点を押さえておくと分かりやすいでしょう。
・768年に社殿が造営されたとされる、奈良を代表する古社
・武甕槌命・経津主命・天児屋根命・比売神の四柱を祀る
・藤原氏の氏神として古くから信仰されてきた
・鹿や春日山原始林など、自然と信仰が深く結びついている
・「古都奈良の文化財」の構成資産として世界遺産に登録されている

こうした背景を知ってから境内を歩くと、朱塗りの社殿や燈籠、鹿、森など、一つひとつの景観をより興味深く感じられます。